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芦手絵和漢朗詠抄 上・下巻
あしでえわかんろうえいしょう じょう・げかん
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国宝
2巻
平安時代・12世紀
京都国立博物館
B甲598
 芦手絵を描いた料紙に『和漢朗詠集』を書写したもので、下巻に「永暦元年四月四日、右筆黷之、司農少●伊行」という奥書があり、永暦元年(1160)に藤原行成(972~1027)の五代の孫世尊寺伊行によって書写されたものであることがわかる。伊行は能書家として知られ、書道の秘伝書『夜鶴庭訓抄』を著したことでも知られる。
 芦手絵とは、平安時代後期に流行した「芦手」と呼ばれた文字を取り込んだ絵のこと。芦・鳥・水流などさまざまな景物(四季の風物)のなかに、文字を絵画化して書き混ぜた「芦手」の意匠は、衣装や家具など多分野にわたって用いられた。
 この2巻の和漢朗詠集には、1紙ごとに完結した芦手絵が描かれるが、それらはすべて文中の詩歌をキーワードにした謎かけを解くことで解説できる図柄となっており、平安貴族の優美な遊び心が込められた芦手絵といえる。
 なお、内題は「和漢朗詠抄」となっているが、抄本ではなく、『和漢朗詠集』をすべてあますところなく書写している。『和漢朗詠集』は藤原公任(966~1041)が和漢の詩集・歌集のなかから朗詠に適した詩歌を撰したもので、四季題材別に約800首の名歌が収録されている。